迷走する東芝 「メモリー事業の売却を巡る攻防戦」 - 日本政府が産業革新機構を活用して出資検討

4月18日、政府系ファンドの産業革新機構の志賀俊之会長(CEO)は記者会見で、東芝が売却手続きを進めているメモリー事業の入札について「投資ファンドとして注目している案件だ」と述べ、投資に前向きな姿勢を示した。写真は四日市の東芝フラッシュメモリー工場。2014年9月撮影(2017年 ロイター/Reiji Murai)
(出典 REUTERS ロイター

政府系ファンド、産業革新機構の志賀俊之会長(CEO)は18日の記者会見で、東芝(6502.T)が売却手続きを進めているメモリー事業の入札について「投資ファンドとして注目している案件だ」と述べ、投資に前向きな姿勢を示した。

ただ、現時点では「入札には参加していない。東芝との契約に基づくデューデリジェンス(資産査定)も行っていない」とし、「社内的にチームを作って公開された情報に基づいて勉強をしている」段階であることを強調した。

東芝のメモリー売却をめぐっては、米ウエスタンデジタル(WD)、米ブロードコムと米投資ファンド、シルバーレイク連合、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業など4陣営が1次入札を通過したが、政府は技術流出などを懸念し、外国企業の投資を制限できる外国為替法に基づいて審査する方針を打ち出している。

そうした中、政府内には産業革新機構などを活用して、海外企業への完全売却に歯止めをかける案も浮上。産業革新機構の動向に注目が集まっていた。

志賀会長は東芝のメモリー事業への投資について「支援基準に基づいてできる案件なのかどうかが最初のハードルだ」と指摘。「その上で、デューデリジェンスを行って、収益性を検討することになるが、現時点ではそういうステージには入っていない」と述べ、検討はまだ初期の段階であることを明らかにした。

仮に投資する際は金額が兆単位に膨らむことが確実視されていることから「当然、単独ではできないので、いろいろなところとの組み合わせになるが、これについて具体的にどこと組んで、どういう形というのは何も決まっていない」と語った。

志賀会長は「これだけの案件なので、われわれには関係ないということにはならない」と重ねて強調した上で「投資意義・支援基準にかなってやれるぞとなれば当然前に進めるが、そのときに誰と組むかというところまでは至っていない」と現状を説明した。
 
 
産業革新機構は産業競争力強化法に基づき2009年7月に設立。2025年3月末までに保有するすべての株式を売却するよう求められており、運営は折り返し地点を迎えている。投資能力は約2兆円。3月末までの投資決定件数は114件、支援決定金額は9846億円で、あと1兆円強の投資余力を残している。
(出典 REUTERS ロイター

 

シャープが鴻海精密工業と連携して東芝半導体に出資を検討

4月19日、シャープの首脳陣は東芝メモリ(東芝が分社化した半導体会社)に、親会社の鴻海精密工業と連携をして出資する意向を明らかにした。

日本政府は軍事転用も可能な東芝の半導体技術が海外の企業に流出する事に強い警戒感を持っている為、鴻海精密工業の狙いは「シャープ」を活用して日本政府からの容認を引き出す目論みと見られる。

鴻海精密工業はアップルのiPhoneの製造を請け負っており、東芝が売却しようとしている「スマートフォンの記憶媒体に使われるフラッシュメモリー」の技術を取り込めば、部品の調達がしやすくなる効果が期待できる。既にアイフォーンにはシャープの液晶パネルも使われている。

「液晶のシャープ」を手に入れて更なる攻めの姿勢を強めている鴻海精密工業、このまま「メモリーの東芝」まで手中に収めてしまうのだろうか?
 

東芝のメモリー事業を巡る争奪戦

東芝の再建にとって重要な要である「メモリー事業の売却」を取り巻く環境は、日に日に混沌としてきている。

日本政府は、東芝の技術が外資へ流出する事を防ぐ観点で、売却先の審査の厳格化の方針を示す中、経済産業省の主導の下で産業革新機構や日本政策投資銀行も活用して、日本の企業連合による出資構想を思案中だ。

鴻海精密工業は、日本に本社のある傘下のシャープと連携する事を全面に出して、日本政府の懸念をかわす動きを見せ、更にアメリカのアップルが出資を検討しているほか、フラッシュメモリーの生産拠点である三重県の四日市工場においてメモリーの生産や開発で連携しているアメリカのWD(ウエスタンデジタル)は、他社への売却は契約違反だと抗議して株式取得に向けて独占交渉権を要求しており、「東芝のメモリー事業を巡る争奪戦」は、いよいよ混迷の様相を呈している。

もしWD(ウエスタンデジタル)が法的措置に訴えれば、メモリー事業の売却手続きが遅延するのは避けられない。そうなると、当然東芝の財務改善の計画も前に進まない。

監査法人の承認を得ない前代未聞の決算発表を断行して、上場維持が土俵際に追い詰められている東芝の迷走は続く。

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